SYU-KATSU SPICES就活に役立つ話題集

シゴトビトの言葉学

[第43講] 「豊かな暮らしは緑の空間から」コミュニティスケープ工藤 夏菜のコトバ

毎月1回開催の「しごとトークカフェ」。そこで社会人のゲストが語る、働き方、暮らし方、生き方とは?岩手で働く社会人たちからのメッセージを「シゴトビトの言葉学」として紹介します。43-title
中学生から始めたバレーボール。大学時代も続け、就職活動はちょうど春のリーグ戦に向けて練習に力を入れたい時期だった。企業研究や自己分析をしても自分の興味ややりたいことが分からなかった。一つ重視したのは「家族の近くにいること」。花巻市の実家から離れたくないということもあり岩手県内企業に的を絞り、金融機関1社だけを受験し内定を得てその会社で働くことに。2年間窓口業務などで勤務し、結婚を機に退職。夫の転勤のため青森市に移り住み3年後、夫の異動で子ども2人とともに盛岡市に。そんなころ大学時代に同じ研究室で過ごした留学生の友人が母国へ帰ることになった。「オンライン寄せ書き」のまとめ役として、その友人と関わりのあった方々に寄せ書きの依頼をした。研究室のOBで研究室の学生がアルバイトでお世話になった方でもある、今働く会社の社長にも連絡を取った際「在宅勤務で働いてみませんか」とお声がけいただき、働くことに。職場の皆さんがとても優しく人間関係がいいことに加え小さい子どもが体調を崩した際の急な休みにも柔軟に対応いただくなど働く環境も良く、約3カ月後にはパートながら出社して仕事を始めた。思わぬご縁が今の仕事につながった。

「夏菜(かな)モデル」

コミュニティスケープは公園、緑地、広場、スポーツ施設などの調査、設計をしている。受注先は自治体が9割で残りが大手コンサルタントから。9時半ごろまでに出社し、1時間の昼休みを挟んで午後5時ごろ退社する。主な仕事はCAD(Computer Aided Design)を使用して設計の補助、プロポーザル用の資料や模型づくり、そして報告書、最近学び始めた契約書などさまざまな書類づくりだ。計画地全体の模型は材料にドライフラワーなども使い、100分の1等のスケールで作る。東日本大震災後、沿岸自治体がつくる慰霊公園では、例えば芳名板の模型を作り、慰霊者からどう見えるかなどを検証した。CADは入社してから始め、今では少し人に教えられるほどに上達した。各種書類作成が忙しく、模型づくりに参加できないのが少しだけ残念。出社前、小学1年の長男を小学校に自転車を押して徒歩で送り、一時帰宅の後4歳の次男を保育園に預けてから出社する。「朝は戦いです」。そんな子育てママだが、子どもが病気になったとき、快く「休んでくださいと」といってくださる職場なので、できるだけ長く働き恩返しをしていきたい。子育て中の働き方の一つとして、今後「夏菜モデル」になればと願っている。

会社も自分も一緒に成長

コミュニティスケープは最近、盛岡市の保護庭園「一ノ倉邸」を企業の社会的責任(CSR)として管理協力をしている。会社ではここを拠点としたさまざまなイベント開催等の事業にも力を入れていきたいと思っている。子育て中という事情から今はパート勤務だ。当面はこの形で仕事を続け、子ども会やPTA行事などにも出られるようにしながら、なるべく長く仕事を続けたい。正社員を目指すかどうかは子どもが成長し手がかからなくなったころに家族とも相談して考えたい。いずれさまざまな書類が自分で作れるようになり、会社をしっかり支えられるような働き方をしていきたい。

 

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工藤 夏菜(くどう・かな):
花巻市出身。岩手大学農学部卒業後、銀行に。結婚を機に退職し、青森市に引越し約3年過ごす。3年前、夫の転勤で念願の岩手にUターン。学生時代に縁のあったコミュニティスケープの社長に連絡をしたことがきっかけで、在宅勤務から仕事を再開した。

株式会社コミュニティスケープ:
1999年11月設立。公園・緑地・都市環境・自然環境の計画や設計を通して多様なコミュニティが活躍していくための「みどりを中心とした空間の構築」をミッションに自治体や建設コンサルタントをサポートしている。

\工藤さんの言葉を聞いた、参加者のコメント/

・終始、楽しくお話が聞けてあっという間の1時間でした。私も長く勤めあげられる会社への就職を目標に活動していますが、普段から人と人との繋がりを大切にしていこうと思いました。

・私も元銀行員でこれから何をしたいなど何も目処が立っておらず不安を抱えていましたが、全く違う職種で働いている工藤さんのお話を聞いて少し前向きになれた気がします。勇気づけられました。来て良かったと思いました。

・設計というと建物や物をイメージしてしまうのですが、今日のお話を聞いて「みどりを中心とした空間の構築」のように設計には、空間や緑も関係があるのだと分かりました。子育てしている方の仕事の仕方というのを聞く機会はあまりなかったのでとても参考になりました。


「しごとトークカフェ」は2010(平成22)年度にスタート。工藤さんは145人目のゲストでした。