SYU-KATSU SPICES就活に役立つ話題集

シゴトビトの言葉学

[第31講] M5Trees/松森木工所 松森政仁のコトバ

毎月1回開催の「しごとトークカフェ」。そこで社会人のゲストが語る、働き方、暮らし方、生き方とは?岩手で働く社会人たちからのメッセージを「シゴトビトの言葉学」として紹介します。

31-titleUターンし、父親が経営する木工所に“弟子入り”した。仕事を知り、技術を磨き、経営を学ぶ“修業”の日々を送っていた。「いいものを作っていれば注文は来る」。職人気質の父親はモノ作りには熱心だった。だが、ほかの業界に勤務し営業やマネジメントの経験がある松森は危機感を抱きながら仕事をしていた。「小さな木工所が世の中に必要とされるためにはどうしたらいいのか」

新たなスキルを身につける

仙台市の建築系専門学校を卒業後、木工が盛んな山形県天童市の木工会社に入った。2年ほど勤務したころ、知り合いの建設会社の経営者から「自動車買取販売会社を立ち上げる。手伝ってくれ」と頼まれる。父親からは「せっかくいい会社に入ったのに」と反対されたが、車好きに加え「自分に不足していたスキルを身につけたい」という思いも募り、車販売の道に。1号店の開店から多店舗展開するまでに事業を成功させ、モノ作り業界ではできない経験をする。

消費者にストーリーを伝えたい

地元滝沢市の総合施設ビッグルーフ滝沢。施設内に木の空間を作りたいと市がコンペを実施。数社の中から選ばれたのが松森木工所だった。地域にはリンゴ生産者が多く「味は負けない」と競い合っていた。リンゴの木箱をヒントにレゴブロックのように組み立てられ、さまざまアレンジができるオリジナル家具HaaaL(ハール)を納入した。地元特産のリンゴ「はるか」から命名した「ほしい暮らしをつくれる」家具は、岩手県経営革新計画承認制度の認定も受けた。

未来の社会をデザインする

事業活動で出た端材は「木育ワークショップ」で再利用する。道具の使い方を教え、自由に作ってもらうと子どもだけでなく親が時間を忘れ没頭する。滝沢ニュータウンの空き店舗を借り、人の交流スペースをつくっている。レーザーカッターなど最新のデジタル工作機が使えるほか、缶詰バーも併設、住民が楽しめる工夫をする。地域活動にも熱心で「eye2→weaveたきざわ」は写真を媒体とした住民の交流組織で、いろいろな人との出会いの場になっている。「社会と森と人が三位一体となり、経済活動として持続可能な社会につながる」。これが木工所の生きる道だ。「黙々と作業する職人はいらない。クリエイティブに社会をデザインできる人がいい」。仕事の仲間探しも未来志向だ。

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M5Trees/松森木工所:
注文木製建具、家具のデザイン、製造、取り付け。オリジナル木製建具、家具、プロダクトのデザイン、製造販売。2D/3D CADデザイン 、5軸制御NCルーター木材加工、ふすま・障子張替え 

松森 政仁(まつもり・まさひと):
滝沢市出身。仙台市の建築系専門学校を卒業。山形県天童市の木工所に就職し、同県の自動車買取販売会社に転職。26歳で滝沢市にUターンし、家業の木工所で木工技術を磨く。2017年から「 M5Trees/松森木工所」代表

\松森さんの言葉を聞いた、参加者のコメント/

・「自分、人見知りなんで」とおっしゃりながらも、自己成長のためにチャレンジされ続けている姿が、希望的でした。

・仕事だけでなく、ほかの活動にも理念をしっかり持ってあたっていて、とても勉強になりました。

・自分も一度、志した業種なので、仕事内容やその厳しさを知ることができてよかったです。そして常に高い志を持っていろいろなことに挑戦されていてすごいと思いました。

 


「しごとトークカフェ」は2010(平成22)年度にスタート。松森さんは126人目のゲストでした。
過去の様子はジョブカフェいわての施設内に常設のDVDで閲覧できます。