シゴトビトの言葉学
[第15講] 岩手革 代表 中村 俊行のコトバ
毎月1回開催の「しごとトークカフェ」。そこで社会人のゲストが語る、働き方、暮らし方、生き方とは?岩手で働く社会人たちからのメッセージを「シゴトビトの言葉学」として紹介します。
「パリコレで使ってもらい、世界で認められたい」。中村が販売している「岩手革」。「いわて短角牛」の皮を加工した商品で、経済産業局の「クールジャパン」に選ばれ、パリのショップで今春から販売が始まった。「パリから世界に」。そんな言葉がてらいもなく出てくるのが中村の魅力の一つだ。
数々の職歴を経て
工業高校を卒業し、温泉健康ランドに。半年で辞めて、大手自動車製造会社に転職した。そこにも落ち着くことはなく、お祭りの露天商や札幌でキャバクラの黒服(ウエイターやマネージャーのこと)、メンズパブも経験した。帰郷してガソリンスタンドの店員となり、その後「茶髪のロン毛でピアス姿」で地元広告代理店の面接を受け、「かっこいいから」という志望動機で社長に気に入られた。営業成績はトップ。その実績を生かし、飲食店を扱う情報誌創刊のため求人をしていた大手人材情報会社に入った。
目標は「30歳までに独立」
25歳で同社に入社し、5年後の独立を目指す。必要なスキルは身につけようと死に物狂いで仕事をする。飲食店経営の見通しが立ち、会計経理に詳しい同僚と共同で会社を設立。最盛期には飲食店4店、宅配弁当1店を経営していた。そのころ、バイクのツーリング行った岩泉町の高原で頑丈そうな牛に出会った。
売れない短角牛
経営する飲食店のポリシーは「地元のおいしい食材を地元の若者に食べてもらう」。入店時に千円を前払いし、後は原価に近い値段で飲食できる。いち早く導入したタッチパネルは人件費を抑えるため。メニュ―には岩手の和牛とともに短角牛も。しかし、霜降りではなく赤身で少し単価が高い短角はなかなか売れなかった。「このままだったら短角牛は絶滅しかねない」。そんな危機感と趣味のレザークラフトから「岩手革」が生まれた。
「一生の仕事と考えないで就活しよう」
「自分のなすべきゴールを決めてほしい。それも2、3年の」と就活生にアドバイスする。仕事選びでは、そこで一生働くとは考えず、例えば「2年間でお金をためる」「3年で技術を覚える」とか短期の目標を持って真剣に仕事に向き合ってほしい。
岩手革(いわてがわ):
事務所 盛岡市下太田下川原65-2
革製品工房 4358 aging & anti-aging(八幡平市、工藤尚史さん)
販売店:原価市場、4358、龍泉洞温泉ホテル、道の駅いわいずみ など
商品:短角牛レザー長財布、短角牛シームレス名刺入れ、短角牛レザーコインケース、デザイナーの松嶺貴幸さん(TAKAブランド)とのコラボ商品
中村 俊行(なかむら・としゆき)氏プロフィール:
盛岡工業高校卒。赤湯温泉健康ランド、関東自動車工業、青山産業、総合広告社、リクルートなどで活躍。2013年共同会社アラルア創業。2016年岩手革立ち上げ。飲食店「原価市場」を経営。
\中村さんの言葉を聞いた、参加者のコメント/
・仕事探しに対する考え方、向き合い方が変わりそうです。今日お話を直接聞くことができてよかったです。
・チャレンジ精神が素晴らしく、実力をともなった行動力がすごい方だと思いました。
・やりたいことやエネルギーがあってうらやましいです。中村さんの生き方にあこがれました。自分には何があるのかと考えました。
「しごとトークカフェ」は2010(平成22)年度にスタート。中村さんは110人目のゲストでした。
過去の様子はジョブカフェいわての施設内に常設のDVDで閲覧できます。