シゴトビトの言葉学
[第12講] 株式会社クーシー岩手研究室室長 三上洋介のコトバ
毎月1回開催の「しごとトークカフェ」。そこで社会人のゲストが語る、働き方、暮らし方、生き方とは?岩手で働く社会人たちからのメッセージを「シゴトビトの言葉学」として紹介します。
大学受験は第一志望が不合格となり、一浪後防衛大学校に。教師や上級生からの厳しい指導にも慣れた1年の秋、たまたまスノーボードの雑誌を手に取り「スノボのプロになる」と高校時代の夢が再び弾けた。「辞めるなら勘当」という親の反対にも動じず、防大を中退。安比高原スキー場に住み込み、バイトの傍ら練習に没頭した。20代も半ばになり「ボードじゃ食えない」と就活を始める。かっこいい「Webデザイナー」になるため学校も仕事もある東京に。
変わった経歴が気に入られる
「すぐに就職できます」が東京で入校したITスクールのうたい文句だった。しかし、仕事の実績もない求職者を採用するIT企業はなく、担任の先生に「うまくいかない」と訴えた。その先生が紹介してくれたのがクーシー。面接で与えられた課題は実力不足で完成できず。それを見た社長は「採用は無理」と一言。でもちょっと変わった経歴が気に入ったのか「遊びに来たら」と誘ってくれた。別のアルバイトをしながら通っていると、3カ月後「入社OK」に。
自分ができることはなんでもやる
デザインの才能がないことは自覚しており、会社ではできることから始めた。一つは「マークアップエンジニア」。発注内容をベースに制作コンテンツを理解し、HTML、CSSでマークアップ(タグ付け)する。デザインは無理だったが、これならと挑戦し3年続け、顧客の信頼を得た。仕事以外でもオフィスが散らかっていたら進んで掃除をした。会社やスタッフが困っていることがあれば手助けし、そんな積み重ねが社内外の信頼、信用づくりになった。
お客さんと一緒に成長したい
お客さんから「ホームページをリニューアルしたい」と注文を受けたら、なぜどうしてそうしたいのかをとことん話し合う。「目的は何?」「企業イメージを変えたい?」「ブランディングのため?」目的をはっきりさせ、成果も確認する。「お客さんとスタッフがお互い仲間意識で『いいものをつくりましょう』という雰囲気があれば仕事は成功する」。経験が培った信念だ。
株式会社クーシー岩手研究室:
滝沢市IPUイノベーションセンターにある。通称クーシーラボ。 岩手大学や岩手県立大学との共同研究でWebデザインの人材育成やHTML5をはじめとしたWebシステムの開発をしている。主な業務は、Webデザイン、モーションデザイン、マークアップ・アクションスクリプト開発など。
三上 洋介(みかみ・ようすけ)氏プロフィール:
青森市出身、防衛大学校中退後、安比高原スキー場で仕事をしていた。Webデザイナーに憧れ上京。Web専門スクールを受講し、IT ・Web業界に転職した。クーシー岩手研究室室長。
\三上さんの言葉を聞いた、参加者のコメント/
・お客さんを育てる話が良かったです。目的をもってサイトを作る…。仕事に対する心構えのお話も考え方が同じだったので目標になりました。
・ウェブ制作は目的があってこそという観点からクライアントと一緒になって良いものを作っていく姿勢を学びました。クリエイティブ職の人物像についても伺うことができ、有難い時間でした。
・岩手でもCAD、イラストレーター、フォトショップなどの講習、職業訓練が増えたらいいなと思いました。
「しごとトークカフェ」は2010(平成22)年度にスタート。三上さんは105人目のゲストでした。
過去の様子はジョブカフェいわての施設内に常設のDVDで閲覧できます。