シゴトビトの言葉学
[第3講] ドコモCS東北岩手支店・青山文則のコトバ
毎月1回開催の「しごとトークカフェ」。そこで社会人のゲストが語る、働き方、暮らし方、生き方とは?岩手で働く社会人たちからのメッセージを「シゴトビトの言葉学」として紹介します。
多感な少年時代、家庭生活は「幸せ」とはいえなかった。生まれ育った家を飛び出したいとの一心で他県の高専に進学。勉学に志しがあった訳ではないが「勉強は頑張った」。就職先は「青年海外協力隊に参加できる」を唯一の条件に、日本電信電話株式会社(NTT)入り。入社3年後に南太平洋の島国で目標を実現する。国際貢献は今も続く。ドコモの技術を生かし非政府組織(NGO)のメンバーとしてスリランカ、イラン、トルコなどの被災地で活動している。
田舎の家を出たい
青森県北津軽郡板柳町で育つ。小学生時代に父が他界、中学3年のとき母親が再婚するため家を出た。「仙台は遠く離れた大都会だった」。仙台電波高専(現仙台高専)の学生募集の掲示にひかれ同校に。電波も電気通信にも興味がなかったものの「将来必ず役に立つはず」と頑張って勉強した。
在学中、将来を決める出会いが。開発途上国の住民を支援する青年海外協力隊募集ポスター。「途上国で技術支援をする」。それが人生の大きな目標となる。
無線技術支援からマラリア対策に
NTTは「電気通信事業の発展に寄与するため」を目的に特別休暇制度を持っている。2年間休職可能で、期間中給与も支給される。派遣国はバヌアツ。空港管制施設の無線技術の担当だった。しかし派遣から半年後、反対派が施設に放火し、開港は延期となり仕事がなくなる。NTTの制度趣旨から、帰国しなければならない立場だったが、活動を継続するため自分で仕事を探す。見つけたのがマラリア対策。世界保健機構(WHO)で活動する日本人研究者に手助けを申し出た。
「やりたい」「自分に合う」それ以外の選択も
携帯電話市場は激しいシェア争いが続く。ドコモの強みは、トータルなサービスを提供できること。岩手県内では救急車から心電図を医師に送るシステムや出産事故防止のための牛の体温管理、水田の水管理サービスをしている。「スマホの機能や安さだけで競争するのではなく、トータルなサービスを提供している」と自分の仕事に自負を持つ。「やりたい仕事や合う仕事を探している人も多いのでは。自分は仕事選びの基準が人と違った。それぞれの就活をしてほしい」と就活者を励ます。
株式会社NTTドコモ:
携帯電話など無線通信サービスを提供する日本の最大手移動体通信事業者。日本電信電話株式会社(NTT)の子会社。ドコモCS東北はNTTドコモが提供する通信サービスのお客さま接点を一元的に担う企業として、2014年7月の事業再編時に発足した。
青山文則(あおやま・ふみのり)氏プロフィール:
青森県出身、51歳。仙台電波高専を卒業し、1986年にNTTに。1989年から2年間、青年海外協力隊員としてバヌアツ共和国でマラリア調査。帰国後、移動通信分野の研究開発やドコモの法人営業業務に携わり、2015年からドコモCS東北岩手支店に。
\青山さんの言葉を聞いた、参加者のコメント/
- 通信業はもう成長しきった、というイメージがあったのですが、農業や医療など幅広い産業に拡大し、新しいシステムをどんどん生み出していると知り、おもしろい業界だと思いました。(18歳学生)
- 青年海外協力隊に参加するなど自主的に行動する意識が強く、また赴いたバヌアツで予定外の要因からやるべき仕事がなくなってしまったときも新しく自分で仕事を見つけ出し活動するなど自分で自分の道を切り開く行動をなされていたのが印象的でした。自主的な行動・自発的な意識を持つよう心がけていきたい。(18歳学生)
- ドコモと言えば携帯電話というイメージだったので農業や医療の話が聞けるとは思いませんでした。農作業の管理や記録などをスマホで管理するアグリノートやクラウドの技術を搭載した心電図などスマホそのものを売る事だけでなく、スマホをどう仕事の中で活用していくかという事を考えていることがわかりました。(19歳学生)
「しごとトークカフェ」は2010(平成22)年度にスタート。青山さんは96人目のゲストでした。
過去の様子はジョブカフェいわての施設内に常設のDVDで閲覧できます。